高性能住宅の始まり②
「断熱材」― 何を使うかだけではなく、どう施工するか
前回のブログでは、私が15歳で大工の世界に入り、住宅の断熱性能が少しずつ変わっていった頃の話を書きました。
今回はその続きとして、「断熱材」について書いてみたいと思います。
私は長年、大工として家づくりに携わってきましたが、断熱について考えるときに大切にしていることがあります。
それは、
「断熱性能の数字だけで、家の良し悪しは決まらない」
ということです。
外張り断熱と充填断熱
住宅の断熱方法には、大きく分けると、柱などの構造材の外側を断熱材で覆う「外張り断熱」と、柱と柱の間に断熱材を入れる「充填断熱」があります。
外張り断熱は建物を外側から断熱材で包み込むため、よく「魔法瓶のような家」と表現されます。
熱橋を抑えやすいなど、外張り断熱にはもちろん良いところがあります。
ただ、夢創ハウジングでは基本的に、壁の中に断熱材をしっかり充填する方法を採用しています。
私自身、大工として家の構造をずっと見てきた中で、柱と柱の間にある空間を有効に使い、そこへしっかり断熱材を充填する方法に良さを感じているからです。
そして私がもう一つ大切にしているのが、湿気との付き合い方です。
住宅は断熱性能だけを上げれば、それですべて解決するわけではありません。
断熱、気密、換気、湿気、そして乾燥。
これらを一つのものとして考える必要があります。
夢創ハウジングが選んだ「麻入りセルロースファイバー」
そこで夢創ハウジングが採用しているのが、麻入りのセルロースファイバーです。
セルロースファイバーには断熱性能だけでなく、吸放湿性や吸音性などの特徴があります。
でも、ここで私が伝えたいのは、
「セルロースファイバーなら何でも同じではない」
ということです。
断熱材は、材料そのものと同じくらい施工方法が大切だと私は考えています。
私たちが採用している工法では、柱と柱の間に専用のシートを施工し、その中へセルロースファイバーを吹き込んでいきます。
その充填密度は、壁の場合で60±5kg/m³。
かなりの高密度で施工します。
この高密度の断熱材をきちんと受け止めるためには、シートの張り方も重要です。
筋交いや配管、コンセントボックスなど、実際の壁の中は決して単純ではありません。
そうした部分にも断熱材をしっかり回り込ませ、できるだけ隙間をつくらず、高い密度で充填していく。
同じ断熱材を使っていても、施工方法や密度によって仕上がりは違ってくる。
これは、現場を長く経験してきたからこそ、私が大切にしている部分です。
なぜ「麻」を入れるのか
そして、もう一つの特徴が麻です。
セルロースファイバーは綿状の断熱材です。
だからこそ、壁の中へどう充填するか、そして長い年月が経ったときにどういう状態を保てるかまで考えなければなりません。
私たちが採用しているセルロースファイバーは、麻の繊維を均一に混ぜ、高密度で施工することで、経年による沈下を抑える工夫がされています。
家は、完成したその日だけ暖かければいいわけではありません。
私が考えるのは、
10年後、20年後も、壁の中の断熱材がきちんと仕事をしているか。
ということです。
完成してしまえば、断熱材はほとんど見えなくなります。
だからこそ、大工として私は見えなくなるところを大事にしたい。


高気密・高断熱だからこそ、その先を考える
今の住宅は昔に比べ、本当に断熱性能が高くなりました。
「高気密・高断熱」という言葉も当たり前になっています。
もちろん、それ自体は良いことだと思います。
ただ、性能を高めていけば、それに伴って考えなくてはいけないことも出てきます。
湿気はどうするのか。 乾燥はどうするのか。 音はどうなるのか。 換気をどう考えるのか。
私は「数値が高いから高性能住宅」というだけではなく、そこで暮らす人が一年を通して快適に過ごせることが、本当の意味での高性能住宅だと思っています。
だから夢創ハウジングでは、
「何を使うか」 「どれだけの密度で入れるか」 「どう施工するか」
そこまで含めて「断熱」だと考えています。
冬暖かく、夏涼しい。
そして、湿気や乾燥、音まで含めて気持ちよく暮らせる家をつくる。
これが、長年大工として家を造ってきた私が、今たどり着いている家づくりの考え方です。
そして次回は、今回の断熱とも深く関係する、
「高性能住宅と乾燥」
について書いてみたいと思います。
なぜ高気密・高断熱の家で「乾燥」という問題が出てくるのか。
そして夢創ハウジングでは、それをどう考えているのか。
次回は、そんな話をしてみたいと思います。